いくぶん残暑も和らぎ、しのぎ良い日が多くなりました。みなさま夏のお疲れは出ていらっしゃいませんか。
旬菜・京料理「正阿弥(しょうあみ)」でございます。
最近はお電話にてたくさんのお問い合わせやご予約を頂いており、心より感謝申し上げます。
よく「世阿弥(ぜあみ)さん?」と言われますが、「正阿弥(しょうあみ)」です。店名の由来についてはまたおいおいお話しできればと思います。
正阿弥の裏道を北に抜けると、歩いて2分ほどで聖護院があります。聖護院は山に籠って修行する「修験道」のお寺・山伏(やまぶし)のお寺です。
正式な名称は、聖護院門跡といい、「門跡」とは、皇族・貴族が住職を務める特定の寺院、あるいはその住職のことだそうです。
昔は聖護院の西側に聖護院村という村があり、鴨川までうっそうとした「聖護院の森」が広がっていたそうです。毎日通る京大病院の大きな病棟が林立するあたりが全部うっそうとした森だったのかと思うと、なんだか不思議な感じがします。
この聖護院の森の守り神として作られたのが聖護院門跡の南西にある熊野神社。(※ちなみに当店にお越しの際は京都市バスの「熊野神社前」が最寄りのバス停、そこから歩いて3分ほどです)
熊野神社は、若王子神社、新熊野(いまくまの)神社とともに「京の熊野三山」と言われ崇敬されてきました。
※本家の熊野三山は紀伊国にありますが、片道700kmと遠く、当時は1か月ほどの旅となり大変だったので、熊野の新宮・別宮として京の都に創建されたそうです。
聖護院門跡や当店周辺の地名もそのまま聖護院(しょうごいん)と呼ばれており、正阿弥の住所も「左京区聖護院円頓美町17番地」です。
聖護院といえば、京野菜の「聖護院大根」や「聖護院かぶら」が有名ですね。
聖護院大根は江戸時代に尾張国から金戒光明寺に奉納された大根を、聖護院村の農家が譲り受けて栽培し、採取を重ねるうちに短い丸型の大根が生まれたと言われています。一説によるとこのあたりの耕地は浅く、土深く根が伸ばせなかったためこのような形になったと言われています。冬は霜で甘味が増し、煮るととろけるような食感を楽しめる京の冬の味覚です。千本釈迦堂や大原三千院の大根焚きでも使われています。
聖護院かぶらは千枚漬けや京料理のかぶら蒸しなどがおなじみですね。京都では一冬に1000トンの千枚漬けを漬けます。
聖護院きゅうりというのもあります。黒いぼの胡瓜で切り口がやや三角なのが特徴で、絶滅品種ですが京の伝統野菜の一つです。
さて、聖護院門跡では2016年9月10日(土)~12月18日(日)の期間、特別公開が行われています。
見どころは主に以下の3点、
①門跡寺院の正殿に当たる宸殿では、花鳥や賢人、また雄大な自然が描かれた狩野派の130面の豪華絢爛な障壁画を見ることができます。
②また聖護院では、廃仏毀釈の際に廃寺となった末寺から本尊を預かったため、現在も多くの不動明王像が安置されており、それも見ることができます。聖護院は修験道のお寺・山伏のお寺なので、修験道に関係する仏様を多くお祀りしています。
③後水尾天皇が女院のために建てた優美で繊細な書院も見ることができます。これは聖護院が現在地へ移転したときに、御所から移築されたと言われています。恋文を表す折文の形を使った釘隠しなど、随所に女性を意識した意匠がなされています。
※詳細については聖護院のホームページをご確認ください。本山修験宗総本山 聖護院門跡 ホームページ
いかがでしたでしょうか。奥深い歴史がたくさん詰まった「聖護院」。ぜひこの機会に聖護院を訪れ、当時にタイムスリップして思いをはせてみてください。
2016年09月24日(土曜日)16時39分